祇園祭りの山鉾:中国の故事が息づく縁起
祇園祭りの山鉾は、中国の故事に由来するものが多いのをご存じでしょうか?
中国の文化、特に仏教や儒教などの思想や物語は、古代から日本に伝わり、日本と中国は長い歴史を通じて文化的な交流がありました。日本の祭りや行事においても中国の故事や象徴が取り入れられるようになりました。
室町時代(14世紀後半から16世紀)には、日本の文化や芸術が中国の影響を顕著に受けた時代でした。当時、中国の文化が日本の社会の上流階級で高く評価され、芸術にも盛んに取り入れられました。この時代に山鉾行事が発展し、中国の故事が山鉾のデザインや装飾に取り入れられるようになったと考えられています。
山鉾は祇園祭りの中で重要な役割を果たす存在であり、神聖なものとして崇められています。中国の故事や神話には、人間の善悪や道徳的な価値観を描いたストーリーや神々の活躍が多く存在します。これらの故事や神話は、山鉾のデザインや装飾に取り入れられることで、神聖さや教訓を伝える象徴とされています。
祇園祭りは、古くから続く伝統的な祭りであり、その歴史と伝統は大切に守られてきました。先人が中国の故事や文化を尊重し、山鉾に取り入れたことが、現代に至るまで受け継がれてきた要因の一つでもあります。
今日7月24日は祇園祭・後祭(あとまつり)の山鉾(やまほこ)巡行が行われます。
この中の「鯉山」も、中国の故事「登竜門」を題材にし、大きな鯉(こい)が跳躍する勇壮な姿を表しています。
登龙门dēng lóng mén
龙门位于黄河上游,其流甚急。
Lóngmén wèiyú Huánghé shàngyóu,qí liú shèn jí.
古代传说鲤鱼登此门即化为龙。
Gǔdài chuánshuō lǐyú dēng cǐ mén jí huàwéi lóng.
后以登龙门比喻考试及第或由微贱变为显贵。
Hòu yǐ dēng lóngmén bǐyù kǎoshì jídì huò yóu wēijiàn biànwéi xiǎnguì.
日本語意訳:
龍門は黄河の上流に位置し、その流れは非常に速い。
古代の伝説によると、この門を登った鯉は龍に変わるという。
その後、試験に合格したり、身分の低い人が高貴な人に変わることのたとえとして使われるようになった。
これは「鯉の滝登り」として広く知られていますね。
祇園祭りの山鉾は、日本の伝統的な祭りでありながら、遠く古代中国の故事にまで遡るのは面白いです。
少し知識を持って見ると、より一層楽しいものとなることでしょう。
巡行の見学に行かれる方は暑さ対策しっかりしてくださいね。