中国語の敬語の使い方やニュアンスについて
中国語における敬語は、人間関係を重視する中国文化において、重要な役割を担っています。
日本語と同様に、敬語を使い分けることで、相手に敬意を示したり、親密な関係を築いたりすることができます。
しかし、日本語と違い、中国語には明確な体系的敬語はありません。
例えば、「ない」「ありません」「ございません」はどれも“没有méiyou”なのです。
そこで、ニュアンスによる使い分けが必要となります。
中国語の敬語には、「尊敬語」と「謙譲語」の2つの種類があります。
「尊敬語」は相手を尊敬する場合に使われ、「謙譲語」は自分自身を謙遜する場合に使われます。
具体的に見ていきましょう。
尊敬語
「尊敬語」には、「您(nín)」という敬称があります。これは「知ってる!」という方も多いと思います。
この敬称は、日本語の「あなた」に相当しますが、より丁寧なニュアンスがあります。
また、尊敬を表す接頭辞に、“宝bǎo,大dà,高gāo,贵guì,令lìng,贤xián,雅yǎ,尊zūn,玉yù”などがあります。
尊敬語の例
ご家族|宝眷bǎojuàn,府上fǔshàng.
お父〔母〕上|令尊lìngzūn〔令堂lìngtáng,尊堂〕.
ご令嬢|令爱lìng'ài,千金qiānjīn.
ご令息|令郎lìngláng.
おじい様|令祖父lìngzǔfù,老太爷lǎotàiyé.
おばあ様|令祖母lìngzǔmǔ,老太太lǎotàitai.
ご主人様|掌柜的zhǎngguìde,先生xiānsheng.
奥様|太太,尊夫人zūnfūren,令夫人.
ご意見|高见gāojiàn.
ご教示|雅教yǎjiào.
お考え|雅意yǎyì;尊意zūnyì.
お年|[老人に対し]高龄gāolíng;高寿gāoshòu.など
これらの言葉を使うことで、相手に対して丁寧さと敬意を表現することができます。
謙譲語
一方、「謙譲語」には、「我」という代わりに、「小弟(xiǎo dì)(男性の場合)」、「不才(bù cái)」、「在下(zài xià)」などと言ったり、謙譲を表す接頭辞として、“敝bì,小xiǎo,贱jiàn,家jiā,舍shè,愚yú,拙zhuō,鄙bǐ”をつけたりします。
例としては、
自分の考え|鄙见,愚见,拙见zhuōjiàn.
自分の名|小名,贱名jiànmíng.
私の姓|贱姓jiànxìng.
自分の体|贱躯jiànqū.など、これらの言葉を使うことで、相手に対して自分を謙虚に見せることができます。
まとめ
しかしながら、同年代の友人やとても親しい人との会話では、あまりに敬語を使うと距離感が出てしまいかえっておかしくなってしまいます。
敬語とは相手に対する心配りが出発点です。
丁寧な言葉遣いで、なごやかな人間関係をつくり、対人関係を円滑にする表現法のひとつと考え、まずは、その気持ちを持って、大げさになり過ぎないような使い方にも注意が必要です。
このように、中国語における敬語は、文脈や立場によって使い分けが必要であり、相手に対する敬意を表現するために非常に重要な要素です。